楽曲紹介『えびぞりダイアモンド!!』
《タイトル》
えびぞりダイアモンド!!
《発売元》
STARDUST DIGITAL
《発売日》
2010年8月7日
《メンバー体制》
インディーズ時代
(瑞季、宇野、宮﨑、真山、杏野、安本、矢野、廣田、星名、小池、鈴木、松野)
《発売形態》
①通常盤
《収録曲》
1. えびぞりダイアモンド!!
2. えびぞりダイアモンド!!(okadada remix)
《オリコンチャート》
デイリー最高位:――
ウィークリー最高位:――
【シングルの背景】
エビ中初のオリジナル楽曲にして通算2枚目のシングル。
このシングルから矢野、廣田、星名、小池、鈴木、松野の6名が加わり、メンバー数が前回のシングル(『朝のチャイムがなりました!』)の2倍になっている。
元々はライブイベント等での手売り販売のみだったが、2010年11月9日より全国のHMVで販売が開始された(現在は絶版)。
公式ホームページには2nd Singleと表記されているが、『エビ中の絶盤ベスト~おわらない青春~』の付属小冊子(歌詞カード)や各種インタビュー記事等、所々『えびぞりダイアモンド!!』が1st Singleとして表記されていることがある。
そのためか、『えびぞりダイアモンド!!』がインディーズデビューシングルとされることが多い。(※)
ヒャダインこと前山田健一氏がエビ中の音楽科主任となって初のシングルでもある。
ちなみに音楽主任とは、本人曰く「エビ中のことをよく知っていて、一番多くの曲を書いている」ということらしい。自身の手がけた楽曲のレコーディングの際は、メンバーへの歌唱指導も行っている。自身の関わっていない曲に関しては基本的にはノータッチだったようだ。*1
1. えびぞりダイアモンド!!
作詞:前山田健一
作曲:前山田健一
編曲:前山田健一
タイアップ: バラエティ番組『小中高一貫 ももえび学園』のオープニングテーマ曲。
【背景】
当時ももいろクローバーのメジャーデビューシングル、『行くぜっ!怪盗少女』を手掛けた前山田氏が、理事長にエビ中にも曲を作ってほしいと依頼されて制作した楽曲。
2010年8月7日、8日に行われた「TOKYO IDOL FESTIVAL 2010」にて初披露された。
前山田氏は自身の冠番組で、AKB48の『大声ダイアモンド』を意識して作ったと語っている。
ちなみに、「えびぞりダイアモンド」というタイトルや「あいむそーりーえびぞーりー」という歌詞は理事長からのリクエストによるものである。*2
当時のメンバーは12人いたが、ライブで使用できるマイクの上限が6本だったため、ソロパートが与えられるメンバーも6人までというルールが敷かれた(台詞パートは除く)。
そのため、全員が全パートを通しでレコーディングし、その中から前山田氏が歌割りを選別するという形式で制作された。
当時のエビ中公式ブログには、各メンバーのソロパート採用理由が掲載されている。*3
スカパー!(スカパー!HD) PigooHD 及び、スカパー! エンタ!371にて放送されていたバラエティ番組『小中高一貫 ももえび学園』のオープニングテーマ曲であり、同番組のDVD作品『小中高一貫 ももえび学園 私立恵比寿中学の部 其の壱』には、『えびぞりダイアモンド!!』をミュージックビデオ風に撮り下ろした特典映像(ミュージックビデオ(仮))が収録されている。*4
また、ニコニコ動画のPigooHD公式チャンネルにて、『「えびぞりダイアモンド」を「私立恵比寿中学」本人が踊ってみた』という動画が配信されている。
【感想】
はい、僕の大好きな曲です(←恐らくこれ以降何度も言う台詞です(笑))
この曲のメッセージ性はとてもシンプルで、「悪いことをしたらちゃんと謝ろう」ということと、「笑顔でいれば毎日が楽しくなるし、嫌なことがあっても大丈夫だからいつも笑っていよう」ということだけです。
まるでアンパンマンの世界ですね(笑)
しかし、幼い子供にも当てはまることだからこそ誰にでもあてはまるテーマでもあると思います。
曲の途中で裕乃(鈴木)とりななん(松野)による台詞が入るんですが
裕乃「悪いことしたときはね、ゴメンって謝ろ?」
りななん「そうすれば ケンカも 争いも 戦争だってなくなると思うんだぁ」
という台詞があり、妃菜喜(矢野)の美しい歌声による「ずっとずっと笑っていたいから」の後に「ゴメンと謝れるその勇気は ダイアモンド」と歌詞が続きます。
僕はこの歌詞がとても好きなんです。
大人でも子供でも、謝ることが出来ない人っていますよね。
子供だろうが大人だろうが、日本人だろうが外国人だろうが、悪いことしたら謝るのは常識です。
常識ですが、それって実は凄く勇気がいることだと思うんです。なにせ許してもらえるか分からないんですから。
自分が悪だと認めた上でその審判を相手に委ねるのは恐怖以外の何物でもありません。
そんな恐怖を感じるくらいなら、そもそも自分は悪くないんだという方向に持っていきたくなるものです。これはある種本能的なものでもあると思います。
だから子供は、誰に教わるでもなく言い訳をするんでしょう。
しかし、その恐怖に負けて言い訳をしだすと、ケンカが起き、争いが起き、戦争が起きてしまう。
だからそうならないように悪いことをしたら謝ろう。
ずっと笑っているために謝ろう。恐怖を乗り越えてゴメンと謝れるその勇気はダイアモンドなんだ!…と歌うこの曲には胸を打たれます。
この曲には世界平和という壮大なテーマすら含まれていると思います。
しかし、この曲はそういった重苦しい部分をメインに据えず、あくまでも楽しく、そして馬鹿馬鹿しくが中心の作りになっています。
当時は、それまでエビ中がカバーしていた楽曲と比べても、「あいむそーりーえびぞーりー」や「ひげそーりー」等、かなり馬鹿馬鹿しい歌詞なので、初めて曲を聴いたときは内心がっかりしたメンバーも少なくなかったとか(笑)
最年長の真山りかもその一人で、武道館ライブ*5の特典映像で真山は、「最初は何だこの歌詞と思って本当に嫌だったけど、(メンバー脱退を控えた)レッスンで泣きそうになっていた時にこの曲を聞いたらあまりの馬鹿さ加減に笑ってしまった。その時にこの歌詞で良かったなと思った」と語っています。
結局そういうことなんですよね。
笑うことが大切だと言っているんですから、人を笑顔にできる曲でなければなりません。
これ以降もエビ中には馬鹿馬鹿しい曲がたくさん作られますが、その根本はここだと思っています。
そして、以降の楽曲、ひいてはこれからエビ中自身が生み出していく笑顔の大切さを歌った曲であるこの『えびぞりダイアモンド!!』はまさしくエビ中の原点であり、原点にふさわしい曲であると僕は思います。
前回のシングルと今回のシングルの両方にソロがあるメンバーは真山、なっちゃん(杏野)、彩ちゃん(安本)の3人ですが、聞き比べると3人ともかなり歌が上手くなっていることが分かります。特に真山は凄いですね。
ブログによると、レコーディングの際に前山田さんに「アニメ声が出来ます!」と言って収録したそうです。後に真山は、これがなければ今の自分は無かったと語っています。*6
ただ、今回から参入してきたメンバー達が強力すぎて彼女たちの上達っぷりが霞んでしまっている感は否めませんね(笑)
ぁぃぁぃ(廣田)と妃菜喜は歌唱力の高いメンバーなのでソロパート獲得は当然と言ったところかと思いますが、個人的に凄いと思ったのは美怜ちゃん(星名)です。
最後の「ダイアモンド!」は、前山田さんが全員に自分らしさを出して歌うように指示したそうなんですが、美怜ちゃんはメロディーを無視して元気いっぱいに歌っています。
これは凄いことだと思います。なにせ美怜ちゃんはまだエビ中に入ったばかりなんですから。
それどころか芸能界自体が入ったばかり。歌の経験なんかないし、勿論レコーディングも初体験。
そんな右も左も分からない状態では、いくら自分らしさを出してと言われたからって、設定されてるメロディーをぶち壊して歌うなんて普通は怖くて出来ないと思います。
ヘアゴムの件*7もそうですが、本当に美怜ちゃんは破天荒ガールだなと思います(笑)実際、これ以降も彼女の破天荒エピソードは沢山生まれますし(笑)
そういったテクニック(?)で言えばなっちゃんもそこを評価されて選ばれたようです。確かに、「ひーげそーりー」の馬鹿にした感じや、「英語テスト30点」の落ち込みっぷりはハッキリと表現出来ていますね。
逆に彩ちゃんは、癖もテクニックも一切ない余りにもまっすぐな歌い方が前山田さんのハートをキャッチしたようです。彩ちゃんの「ダイアモンド!」は声が裏返っちゃってるんですが、前山田さんの意地悪でそのまま採用されてます(笑)*8
ちなみに、この曲は9人から8人になる際に歌割りが「なっちゃん⇒りったん(中山)」「裕乃⇒ぽーちゃん(小林)」に引き継がれています。
大半の曲は「なっちゃん⇒ぽーちゃん」「裕乃⇒りったん」の引き継ぎ(個人カラーもこの引き継ぎ)なんですが、何故かこの曲はこうなんですよね。
どうして大半の曲と逆の引き継ぎになっているんでしょうか…。
だれかご存知の方いらっしゃったら教えてください(笑)
2. えびぞりダイアモンド!!(okadada remix)
作詞:前山田健一
作曲:前山田健一
編曲:okadada
【背景】
関西を主な拠点として活躍するDJ兼トラックメーカーのokadada氏によってremixされた『えびぞりダイアモンド!!』。
インディーズ時代に発売された楽曲はほぼ全て『エビ中の絶盤ベスト~おわらない青春~』に収録されているが、Off Vocalバージョン等を除くと、唯一この曲だけがアルバムに収録されていない。
【感想】
もう絶版になってしまったこのシングルを手に入れないと音源が入手できない、いわゆるレア曲ですね。
なんていうんですかね…ラップ調?というとなんか違うような気もしますが、まぁそんな感じになっています(笑)
メンバーの声は特に弄られておらず、全体的にゆったりとした曲調になっています。テンポが遅くなっているのかと思って聞き比べてみたんですが、以外と曲のテンポは同じくらいでした。バックミュージックだけでこうも印象が変わるんだなぁと感心しました(笑)
音が少なくなったためか、かなりシンプルになっています。
この曲に関しては賑やかで楽しい雰囲気の方が良いと思うので、前山田さん特有のやたらと音を重ねてガチャガチャさせる技巧が施された原曲の方が僕は好きです。
ただ、曲の途中でちょくちょく入る「ヘェーイ!」という声は面白いと思います(笑)
ちなみに一応ここで聞けます。非公式ですが…。
私立恵比寿中学 - えびぞりダイアモンド(okadada Remix) - YouTube
【シングルの感想】
シングルの感想といっても、このシングルは基本的にえびぞりダイアモンドしか入っていないので特に語ることも無いですね。
曲についてはもう語ったので、パッケージの話でもします(笑)
このパッケージは全員の顔と鎖骨辺りの部分が一切の衣服を伴わず写し出されています。と書くとなんだか性的な印象を受けますが、あまりにも子供過ぎるので特に色気は無いです。
というかむしろ、ガリガリだし、顔もなんだかコラっぽくて少し気味悪く感じます(←失礼)
どういう意図でこのパッケージにしたのか気になりますね。
ちなみにこの次のシングルである『チャイム/どしゃぶりリグレット』以降、パッケージにエビ中メンバーの顔がまともに写るシングルは当分発売されなくなります(笑)
それと、CDジャケットの内側に映っている後姿は美怜ちゃんだそうです。*9
あの写真、後姿かつ後頭部が映っていないのであれだけで誰だか分かる人はかなり凄いですね(笑)
しかし誰だか分からないとはいえ、記念すべき初オリジナルソングのCDジャケットにおいて、新入りであるにも関わらずソロカットに選ばれる美怜ちゃん…これは何か意味が有る…かもしれないし特に無いかもしれませんね(笑)
それと、えびぞりの背景で、全員で全パートをレコーディングしてその中から歌割りを選別すると書きましたが、この手法は現在も使われているような気がします。
というのも、エビ中の番組等でたまに新曲のレコーディング風景が放送されることがあるんですが、CDに入っているパートと違う部分を歌っている子がいたりするんです。
先輩グループのももクロや、妹分のしゃちほこのレコーディング風景の映像もちらっと見たことありますが、どちらもレコーディング順に音源が足されていた(一人めは空でレコーディングするが、二人目は一人目の声が入った状態の音源を聞きながらレコーディングを行い、以降それを最後の一人まで続ける)ので、歌う前からすでにパートは決まっているようでした。(たまたま僕の見た映像がその録り方だっただけかもしれませんが)。
しかし、エビ中のレコーディング映像で既に前の人の声が入った状態でレコーディングしているところは見たことがないので、エビ中は今でも、基本的には全員分収録してからパート割を決めるやり方を取っているのではないかと思います。
とは言っても、流石に出席番号の歌とかは全員で全パート録ったりはしていないと思いますが(笑)
※追記:Top Yell (2017 JUL 7)のインタビューにて、ぁぃぁぃがこのことについて少し語っていました。
やはり基本的にエビ中は全員が全パートを録るスタイルだそうです。
さらに、雰囲気が掴めないときは前にレコーディングした子の声を聞きながらレコーディングしたりすることもあるそうです。
しかし、仕方がないとはいえ平和主義のエビ中がソロパート争奪戦という競争社会の下で生きていたのは少し驚きです。(アイドル自体が厳しい競争社会ではありますが)。
前山田さんが言うには当時は人気の差や事務所の推しメンがいないため、純粋に歌の出来の良さでパートがもらえるかどうかが決まっていたそうです。
しかしこの時点で既にメンバー毎の歌唱レベルには歴然とした差があるため、歌割りが発表される毎に少なからず軋轢や確執が生まれるのは必然です。(前山田さんは歌の上手さだけではなく歌の表現に光る個性があるかどうかも重視していたようですが、インディーズ時代の曲は殆ど前山田さんが手掛けているため、それを考慮した所で全体的に前山田さんのお気に入りメンバーの選出頻度が高くなってしまうことには変わりありません)
美怜ちゃんは後のインタビューで、「当時『なんで最近入った人がパートもらって私はないの?』という空気感はひしひしと感じていて、今では『あの時は暗黒時代だったね』と皆で言っている」と語っています。*10
口に出したりするほどドロドロしていたわけではないようですが、ピリついた空気は少なからずあったようです。
これ以降、曲中にメンバー間でマイクを手渡すスキルが段々と上達し、マイクが6本でもソロパートが6人とは限らなくなってきます。
しかし、それ以上に段々と人気の差が明確になってくるため、彼女たちは益々厳しい現実を目の当たりにしなければならなかったことでしょう。
エビ中メンバーが全体的に争いを避ける傾向にあるのは、この暗黒時代の反動なのかもしれませんね。
(最近はそんな逃げ腰ではダメだという風潮がエビ中内に漂っている気がしますが、個人的にはそういう非好戦的なところに魅力を感じています…(笑))
ちなみにマイクの本数制限はメジャーデビューと共になくなったため、今は1曲の中でソロパートが全くもらえないメンバーがいるということは基本的にはありません。
かほりこは良い時代に入ってきましたね(笑)
※…このブログでも当初は『えびぞりダイアモンド!!』をインディーズデビューシングルとしていましたが、前作のカバーシングル(『朝のチャイムがなりました!』)もインディーズレーベルであるSTARDUST DIGITALが発売元です。
『朝のチャイムがなりました!』はカバーシングルですが、カバー曲でデビューしている方もいらっしゃるので、基本的にはカバーだろうがオリジナルだろうがインディーズレーベルから作品を発売した時点でインディーズデビューだと思います。
なので『朝のチャイムがなりました!』がインディーズデビューシングルだと思うのですが、調べてみると大半の記事が『えびぞりダイアモンド!!』でインデーズデビューと書いていました。
どちらが正しいのか確証が持てなかったため、その辺りは曖昧にしています。
もし詳しい事情をご存知の方がいらっしゃいましたら教えて頂けると大変ありがたいです。
今後の調べていく内に真相が分かれば書き直します。
こっそりと…(笑)
*1:私立恵比寿中学 - 楽曲&PV制作陣が語るエビ中 (1/5) - 音楽ナタリー Power Pushより
*2:えびぞりダイアモンド!! 発売によせて~その1~|私立恵比寿中学オフィシャルブログ「エビ中交換日記」Powered by Amebaより
*3:えびぞりダイアモンド!! 発売によせて~その2~|私立恵比寿中学オフィシャルブログ「エビ中交換日記」Powered by Amebaより
*4:私立恵比寿中学 DVD「小中高一貫 ももえび学園」の魅力を語る座談会 - Ameba News [アメーバニュース]より
*7:当時のエビ中は髪を結ぶ時は全員黒ゴムで統一するという校則があったが、星名美怜はそれを知らずにカラーゴムを着用してきた。これがきっかけでこの校則はなし崩し的に消滅したという(エビ中の絶盤ベスト~おわらない青春~付属小冊子より)
*8:えびぞりダイアモンド!! 発売によせて~その2~|私立恵比寿中学オフィシャルブログ「エビ中交換日記」Powered by Amebaより