浅い知識でしゃあしゃあと

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浅い知識でしゃあしゃあと

私立恵比寿中学さんの楽曲や映像作品を(感想のついでに)紹介します。

楽曲紹介『チャイム!/どしゃぶりリグレット』

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《タイトル》

チャイム!/どしゃぶりリグレット

《発売元》

STARDUST DIGITAL

《発売日》

2011年1月10日

《メンバー体制》

インディーズ時代

瑞季、宮﨑、真山、杏野、安本、矢野、廣田、星名、小池、鈴木、松野、柏木)

《発売形態》

①通常盤

《収録曲》

1. チャイム!

2. どしゃぶりリグレット

 

 

【シングルの背景】

エビ中の3rd Single。宇野の転校、及び柏木の転入以降初のCD作品。

2011年1月10日に行われたイベント、『3B juniorのZEROからスタート 待ってろサンプラザ!!』で先行販売後、全国のHMVにて販売された(現在は絶版)。

ちなみに同イベントをもって宇野は転校した。(ただし、『朝のチャイムがなりました!』発売時とは違って、この日転校することは事前に告知されていた)。

このシングルに収録されている2曲は、『エビ中の絶盤ベスト~おわらない青春~』に収録されている。

 

理事長は前回の「えびぞりダイアモンド!」のような(あるいはそれ以上に)奇抜な楽曲をエビ中に与えたかったようだが、当時エビ中を担当していたA&R*1が正統派楽曲を好む人物であり、2ndシングル発売に当たって正統派楽曲を募った結果完成したシングル。*2

3rdシングルからは担当A&Rが石崎氏(かりそめ先生)に変わったため、この路線は続かなかった。

そのため、本シングルはインディーズシングルの中では異彩を放つ存在となっている。

 

 

1. チャイム!

作詞:MIZUE

作曲:すみだしんや

 

【背景】

インディーズ時代のシングルは殆どが前山田氏が手掛けた曲がシングルのタイトルになっているが、唯一この曲だけは前山田氏が関わっていない曲でありながらシングルタイトルに名を連ねている。(1st Singleの『朝のチャイムがなりました!』は曲のタイトルではない)。

ちなみに作詞と作曲を担当したMIZUE氏とすみだしんや氏は、後にエビ中の絶盤ベストに収録される『また明日』や、先輩グループであるももいろクローバーの『きみゆき』等の楽曲を手掛けたコンビでもある。

両氏はオフィシャルサイトを共有している模様。*3 

  

【感想】

インディーズ時代では唯一と言ってていい正統派アイドルソングですね。

今でも根強い人気を誇る曲ですが、当時は特にファンからもメンバーからも人気の高い曲だったんじゃないかと思います。

なにせ他が変なのばっかりですから(笑)

実際、エビ中の絶盤ベストの小冊子には、「えびぞりの後の曲が正統派アイドルソングだったのでメンバーは驚き、歓喜した」と書かれています。(ちなみにその後に続いてるメンバーからの愚痴コメントが面白いです(笑))

 

曲の内容としては、夢に向かって一歩踏み出す姿を描いた青春ソングと言ったところでしょうか。

そういう人への応援歌でもありますね。

『どしゃぶりリグレット』のような一貫したストーリーがあるわけではありませんが、断片的な情景描写を挟むことでストーリー性を匂わせる作りになっていると思います。

歌詞を見ると、主人公が自分自身を奮い立たせているように感じます。

こういう曲は歌っている側も勇気づけられるんですよね。

走り始めたばかりのアイドルグループにもの凄く刺さる曲であると同時に、アイドルを辞めて別の道を行く決意をした子達にもとてつもなく刺さる曲だと思います。

つまり当時のエビ中には効果抜群です。(ちなみになるちゃん(宇野)もこの曲は歌っています)

こういう曲を歌わせることで、メンバーの背中を押すという狙いもあったのかも知れませんね。

健気な姿が胸を打つ一曲です。

 

でもタイトルの「チャイム」はあんまり歌詞とは関係ない気がしますね。一応歌詞には出てきますが若干とってつけた感があります(笑)

チャイムは始まりと終わりを意味するものだと思いますが、この曲は先に述べたように「夢への第一歩」を語っている曲なので、ここでのチャイムは「始まり」の意味で使われていると思います。そう考えると関係があるような気がしてきますが、歌詞の流れで見るとやっぱりとってつけた感は否めません(笑)

間奏部分でチャイムの音を彷彿とさせるメロディーが流れているので、特に違和感があるわけではありませんが。

おそらくエビ中の学校設定に寄せて作ってくれたんだと思います。

 

メジャーデビュー以降のインタビューで、インディーズ時代の曲で思い入れのある曲についてと聞かれると、瑞季はいつもこの曲をあげていました。

何故かと言うと、この曲は瑞季が初めてソロパートをもらえたオリジナル楽曲だからです。

なんでも、『えびぞりダイアモンド!!』の時に初期メン(えびぞりの時点では瑞季、宇野、宮﨑、真山の四人)の中でパートがもらえたのが真山だけだったことが悔しかったので、一生懸命練習したとのこと。そのため、パートがもらえたのがとても嬉しかったんだそうです。*4

瑞季はソロの人数制限がなかった1st Singleでも、『大爆発No.1』の「涙をふいて」という部分しかソロパートがありません。(ちなみにれいな(宮﨑)はもっと少なくて、「恋が」しかありませんでした…)

『大爆発No.1』の瑞季の「涙をふいて」は正直かなり棒読みです。(個人的にはそれがめちゃくちゃ可愛くて大好きなんですが(笑))

それを聞いてから『チャイム!』の「鳴り響く 胸のチャイムどんなときでも」を聞くと、まるで別人のように上手くなっていることが分かると思います。

これだけでもいかに練習したかがよく分かりますね。 

 

この曲の面白いところは、ソロパートと全員で歌うパート以外に、2人で歌うパートや3人で歌うパートがあるところです。

『なにがなんでも(エビ中ver.)』や、『大爆発No.1』でもそういった手法はありましたが、あの頃は恐らく声量の足りなさや個々の歌唱力の低さを誤魔化すためにそうしていたんだと思います。

ひょっとすると『チャイム!』もそういう理由かもしれませんが、一人ずつ歌うのとはまた違った味わいが出て面白いやり方だと思いますね。

基本的に前山田さんはあまり使わない手法なので、必然的にインディーズ楽曲では珍しい手法となっています。(メジャーでもあまり見ませんが)

 

 

2. どしゃぶりリグレット

作詞:前山田健一

作曲:前山田健一

編曲:前山田健一

 

【背景】

音楽主任前山田氏からの提供楽曲第二弾にしてエビ中初の恋愛ソング。

 

『えびぞりダイアモンド!!』と同じように、この曲も公式ブログに前山田氏による曲紹介と各ソロパートの選出理由が掲載されている。*5*6

ちなみに、この記事を最後に前山田氏がエビ中公式ブログに記事を書くことはなくなった。

前山田氏曰く、『チャイム!』と対極の楽曲ということもあり、『チャイム!』でソロパートを担当しなかったメンバーを中心にパート割を考えたとのこと。(と言いつつ半分は『チャイム!』と同じメンバーになっている(真山、安本、矢野))

当初は宇野の声質をイメージして書いていた模様。*7

 

【感想】

アイドルと恋愛ソングといえば切っても切れない密接な関係にあるものかと思いますが、その重要なセクションの初陣を飾ったのは壮絶な悲恋ソング。

これ以降エビ中の恋愛ソングは悲恋、失恋、片思いという切ない要素を携えたものばかりになります。僕の思い当たる限りでは、2016年9月21日に発売されたメジャー10th Singleの『まっすぐ』が出るまで、エビ中には成就した恋や両想いを匂わせるような曲はありません。(これについては『まっすぐ』の感想の時に語りたいと思います。いつになるか分かりませんが…(笑)

 

この曲の作者が前山田さんだと知った時はびっくりしました。

前山田さんといえば前作の『えびぞりダイアモンド!!』やこれ以降提供されるティッシュやゴーストのような、「わちゃわちゃして楽しい曲」というイメージが強かった(というかそのイメージしかありませんでした(笑))ので、こういう曲も作れるんだなと大層驚きました。(←めちゃくちゃ失礼)

公式ブログの前山田さんによる説明によると、この曲は僻み、嫉み、妬みといった思春期特有のウジウジした感情を表現した曲だそうです。

エビ中メンバーのお母さんには「この主人公の女の子、全部自分が悪いでしょー?こんなウジウジした女、だいっきらい!!」と言われてしまったらしいですが(笑)

まあ、確かにそうです。この曲はただただとある女の子の後悔(リグレット)を延々と語っているだけの後ろ向きな曲ですからね。

基本的にこの曲のような、後悔ばかりで足踏みしている状態はアイドルの楽曲だと否定されがちです。(スターダストアイドルの曲なら尚更です)

確かに前向きなのは素晴らしいことですが、誰もがいつでも前向きでいられるわけではありません。

ウジウジしたくなる時もありますよ。人間だもの。

そういう「浸りたい」時に聞きたくなるのがこういう曲なんじゃないでしょうか。

悲しい時や切ない時はとことんまで悲しんだ方が良いと思うんですよね。切り替えもしやすいでしょうし。

だからこういうただただ悲しいだけの曲にもちゃんと需要があるし、存在意義もあるんだと僕は思いますね。

それに悲しいだけといっても、後悔の切なさと苦しさを散々表現してからの「もしも時間が戻せるのなら あなたへこの想い 全身で届けよう」という歌詞には、「こんな風にならないためにも自分の気持ちには正直になろう」というメッセージ性があると思います。

前回の『えびぞりダイアモンド!!』から世界観は一転していますが、「臆病に負けずに正直になろう」というメッセージは共通している部分かもしれませんね。それが出来れば笑顔あふれるえびぞりの世界、出来なければ後悔と涙のどしゃぶり世界だということなのかもしれません。

それとこの曲は確かに後向きですが、「私も好きなの!負けないんだから!」と言えばよかったという具体的なアドバイスまでくれている分とても親切ですよね。

大抵の曲は多くの人に共感してもらえるように曖昧で抽象的な表現で済ませることが多いですから(笑)

 

この曲は音楽もさることながら、歌詞の言葉選びが巧みだと思いますね。まるで中学生の胸の内を覗きこんだかのようなリアリティを感じます。

中一レベルの英単語を盛り込むことで中学生っぽさを演出したという旨がブログでは書かれていますが、「流す涙が 雨に消えていく」や「神様教えてよ 夢は叶わないの?」等のフレーズも、少しカッコつけているというか、悲劇のヒロインぶりを自ら加速させている感じ(いわゆる中二病感(笑))があって、中学生らしさの演出に一役買っていると思います。

 

歌唱に関して言うと、やはり特筆すべきは新メンバーの柏木ひなたを曲の主軸に抜擢しているところでしょう。出だしソロや落ちサビ等、重要なポジションを任されています。

前山田さん曰くひなたの歌唱には哀愁があり、ぼっち感が半端なかったんだとか(笑)

ぼっち感はよく分かりませんが、当時小学6年生だったことを考えれば確かに哀愁はなかなかのものです。

最年少でしかも入ったばかりのメンバーがいきなり曲のメインを務めたことで、他のメンバーには相当なプレッシャーが掛かったのではないかと思います。前山田氏もインタビューで、この抜擢によってメンバーのやる気スイッチが入った、メンバーが歌のパートが欲しくて日夜練習をするようになったのもこの頃からだと語っています。*8

 

そしてひなたと対をなしてAパートのソロを任されているのがなっちゃんです。ちょっと意外ですね(笑)

前山田さんの中では、なっちゃんは『えびぞりダイアモンド!!』の「ひーげそーりー!」や「英語テスト30点…」等のコミカルな歌い方のイメージが強かったようですが、いざレコーディングをすると彼女は「ぼっち感」をしっかり理解して仕上げてきていたそうです。

つまりなっちゃんは歌の表現力(というか演技力?)があるということなんでしょうね。単純な歌唱力や声質とは違った、歌唱における重要な魅力の一つですね。

 

また、『チャイム!』の瑞季と同様に、れいなもオリジナル楽曲では初のソロパート獲得です。

しかし、ブログを見るとれいなの採用理由だけ他のメンバーと比べて異様に短い上に、具体的な理由が殆ど書かれていません。

もしかするとお情けか、あるいは消去法で採用されたのかもしれませんね…(泣)

 

今回の台詞枠はぁぃぁぃと裕乃。この曲の台詞パートは、一番は主人公の友達、二番は主人公自身(の If の姿)なので、一番と二番の台詞でそれぞれ歌割りの選出理由も違うようです

一番の台詞はぁぃぁぃが担当していますが、その理由が「悪気ゼロのしたたかさを表現するにはぴったりだから」だそうです。なるほど(笑)

「ぶりっこと思われがちだが実は地声」というところにも通じる部分はありそうですね。

ぁぃぁぃの声は飛び道具としても使ってもメインウェポンとして使っても一級品なので、前山田さんからすればさぞかし使い勝手が良かったことでしょうね(笑)

しかし、ぁぃぁぃ本人はこの抜擢にショックを受けていたようです。後に台詞パートしかもらえなくて悔しかったと語っています。*9

悔しくて泣いてしまったという話も聞きますね。このどしゃぶりの一件に関しては泣いたかどうかは知りませんが、ぁぃぁぃの悔し泣きエピソードは他にも意外と沢山あるので、恐らくこの時も泣いたんだと思います。この頃は泣き虫でしたしね(笑)

ぁぃぁぃは理想が高くストイックなので、理想に届かない結果を残した時の悔しさが人一倍強いんでしょうね。これ以外にもぁぃぁぃは人知れず沢山の悔し涙を流してきたんでしょう。だからあんなに強いんだと思います。

 

背景にも書いたように、この曲のソロパートは『チャイム!』でソロをもらってない子を中心にパートが考えられています。

このようなパート割も、『チャイム!』ではひなた、なっちゃん、れいなにはソロがなく、ぁぃぁぃにはソロがあったことが関係しているんでしょう。

そもそも、『チャイム!』でソロがない上に、『えびぞりダイアモンド!!』でも台詞しかもらえなかった裕乃からすれば「そんなことで泣かれたらこっちが泣きたくなるわ」って話な気もしますが(笑)

まぁそれを言ったらりななんは今回のシングルには台詞を含めて一切のソロが無いわけですし、りおたん(小池)なんて今まで一回もソロをもらっていませんからね…。

ソロをもらっていない子を中心に~とは何だったのか…(笑)

まぁ人の悔しさや苦悩を他人と比べること自体がナンセンスですね。ぁぃぁぃが台詞しかもらえなくて悔し泣きしたとしても、裕乃は台詞だけでももらえて喜んでたかもしれませんし。

境遇が違えば同じことでも価値は変わりますからね。

 

なんだか脱線した気もしますが、そんなこんなでどしゃぶりリグレットは名曲です(笑)

 

 

 

【シングルの感想】

キラキラの青春応援ソングと悲しみの失恋バラードで、上手くバランスのとれている良シングルだと思います。

インディーズ時代にしてははっちゃけ度が低いですが、他が強力なのでむしろこういう曲がある方がちょうどいい塩梅になると思いますね(笑)

しかしこのシングルの異質振りが担当A&Rによるものだったとは…エビ中エビ中らしくなってくるのは実質次のシングルからなので、もしも担当がかりそめ先生に変わらなかったらエビ中はサブドルではなく正統派アイドルとして活動していたかもしれませんね(笑)

もしその路線で進めていたら長続きはしなかったと思いますけどね。

 

このシングルの二曲は妃菜喜とひなたが両方在籍している唯一の音源なんですよね。

エビ中の歌ウマメンバーは声が太いタイプが多いので、妃菜喜の透き通るような歌声は重宝していたんじゃないかと思います。

…とはいえこの頃はみんな声が幼いので、太い声といってもそこまでの重厚感はないですけどね(笑)

9人時代後期頃まで妃菜喜が残っていたら強力だっただろうなぁと思います。

ぁぃぁぃ、ひなたに対して彩ちゃん、妃菜喜だと両端のバランスがちょうどいいかと(笑)

実際妃菜喜は、真山、彩ちゃんと並んでここまでのオリジナル楽曲3曲全てにおいてソロパートを貰っているメンバーなので、妃菜喜の転校は少なくとも歌唱の部分ではかなり痛かったのではないかと思います。

 

このシングルはインディーズの中ではサブカル感が薄くて一番浮いていますが、その分一番一般受けしそうなシングルだと思います。

なので、インディーズ時代の活動においてこのシングルの2曲の使い所は最も重要だったのではないかと思います。

多くのメンバーが転校していき、幾度となく苦境に立たされるインディーズ時代のエビ中を支柱となって支えた大事なシングルだと思います。